散華の麗人

そして言う。
「まずは奴らの動きを知る必要がある。」
「それは、解っとる。」
一正はそう言って天井にちらと視線を送った。
「情報はいくつか得ております。」
天井から狐子が一正の背後に降り立って答えた。
「しかし、肝心なところが仲間同士の合図になっており、狐が知る情報内では解読できません。」
「わしとても、知ることはひと握りや。」
一正は言った。
「ひとつ、手掛かりがある。」
雅之はニィッと笑んだ。
「何や。」
「俺が貴様の代わりに奴の所へ行く。奴らは刺客や罠で殺そうとする手筈だ。そこを問い質せばいい。」
「もし、動きがなかったら?」
「……もうひとつの考えを実行するだけだ。」
一正は怪訝そうにする。
「それは」
「言えない。可能性も低い。」
雅之はそう言うと、答えを急かすように真っ直ぐ見据えた。
「………」
一正は押し黙る。