懐かしい気持ちから切り替えて、陸羽派の家臣の資料を見た。
「柚木直睦……反現国王派の筆頭。こいつは要注意だな。所属は旧酒田領土、か。」
そして、そこへ所属する家臣を見た。
「!!」
雅之の目が大きく見開かれた。
そこには、今まで会いたいと焦がれた者の名があった。
「月雲遥葵……」
その名を呟く。
(清零国か、あるいは成田に行ったかと思っていたが。)
きっと、あの馬鹿国王が引き取ったに違いない。
傭兵だからとかそんな理由で買ったのだろう。
(柚木に会うついでだ。)
会えれば顔くらい見るかというような思惑で部屋を出た。