散華の麗人

風の音が心なしかよく聞こえる。
冷たく、手先が凍りそうな風だ。
「言ったはずだ。別れは告げたと。それで、再会しろと?結局、もう一度同じように別れるだけだ。」
「守ればいいだろう!」
風麗は雅之を睨んだ。
「陛下は、正妻にしていいと言った。」
そして、雅之に詰め寄る。
「貴方は臆病なだけだ!守る自信がないから、怖いのだろう?」
「貴様は考え足らずなだけだ。自分は後悔しているから、そう言うのだろう?」
静かに言い返した。
「傭兵。それが、俺が生きている道だ。貴様がどんな後悔を悔いて助言したかは知らない。興味もない。役目は全うする。それが取引だ。……此処に在るのは、細川一正の影武者であり、感情を持った人間ではない。」
そして、寂しそうに目を細めた。