散華の麗人

その晩、屋敷に泊めてもらった。
『食え。』
蘭がおにぎりを差し出した。
『……』
『いいから。』
手におにぎりを握らせて、蘭は茶々の頭を撫でた。
『おまえは、ひとりではないぞ。』
『でも、戦は……戦が、尽く私から全てを奪っていく。』
『それは』
『わかっています。誰が悪いわけではない。そして、得るものもあるのだと。』
茶々は目の前の友を見た。
『友を手に入れた。初めての、友。』
そして、目を細めてみせた。