散華の麗人

それから、茶々は人形のように動かなかった。
寝食もせずに唯、二人を見ている。
そんな茶々を蘭は傍で見ていた。
一正が帰還し、遺体が運ばれた。
その寸前まで、ずっと手を握っていた。
『茶々、その手を離せ。』
一正が茶々の肩を支えて言った。
『……こうしていれば、どこにもいかない……いいえ、そう、ではない。』
大切な人を喪った事実と向き合おうと言葉を吐いた。
『そうや。だから、別れを言え。わしも、別れを言った。』
こくり、と頷いて、茶々は手を離した。