一正はリアンを睨む。
「あんたは上尾の奇術師がわしに恨みを持っていることを利用し、奇術師がわしを殺すように仕向けた。」
「お言葉ですが、何を根拠に言っていますか？仮に、利用していたところで、それだけで貴方を殺す為だと決めつけるのは、少々強引かと」
「だったら何の為や!!何の為に、あいつの心を利用した!?」
一正はリアンに掴み掛かんだ。
「身に覚えがない疑いをかけた挙げ句、貴方は暴力を奮うおつもりか。国王陛下。」
リアンは暗に“それが、細川国のやり方か”と非難した。
（こいつっ!!）
風麗はリアンを睨み付けた。
一正は目を閉じ、開いた。
「……話を聞こう。」
「は。」
手を放した一正にリアンは頭を下げる。
「顔を上げろ。あんたの目を見て話がしたい。」
一正は落ち着き払って言った。
「奇術師を利用したのがわしを殺すためではないなら、何の為や？」
そう言いながら、リアンを睨んだ。
(これ以上、隠せば逆に不利になる。)
そう思ったリアンは全て話すことにした。
「……上尾を我が手中に収める為にあります。」
「なんやと？」
頭を上げて言うリアンに一正は嫌悪感を露にした。
「上尾は現在、ようやく復興し始めたところ。攻められれば簡単に滅びます。しかし、今の上尾には戦をする理由がない。我が国が一方的に攻めたなら、多くの非難を浴びる。」
「なるほど。上尾の奇術師がわしを殺せば、戦の理由が出来るというわけや。」
一正は嘲笑するように答えた。