散華の麗人

――夕方
一正は部屋から一歩も出ずに、軍記や兵書を読み漁っていた。
『陛下』
風麗が昼餉を持ってきた時も一正は部屋から出なかった。
『要らん。』
それだけ言って、没頭する。

気が付けば、薄暗くなってきていた。
部屋が暗くなり、灯りが必要だと感じて、漸く時計を見る。