廊下を歩きながら、風麗は問う。
「よろしいのですか?1人にして。」
「あやつはあやつなりの考えがある。そう疑うな。」
陸羽はそう言うと風麗を見た。
「それとも、ぬしはあのバカモノの言うことが気に食わぬか?あれでも国王ぞ。」
「それは……」
(全部は否定出来ないけど。)
陸羽に風麗は一正のこれまでの行動を思い返しながら思った。
「まぁ、無理もないがな。あやつは馬鹿のようなことしかせぬ。この城を建てたのも、一見はただの気まぐれよ。」
「一見?」
(他に理由が?)
風麗は首を傾げる。
「うむ。」
陸羽はゆっくりと杖をついて歩き始めた。
「この城が出来る前、雨が降らず、不作が続いた。そして、大飢饉が起こり、農民は飢え死んだ。」
「確か、酒田国との争いに勝った翌年でしたよね。争いに負けた酒田国の兵士達の祟りと言われたとか。」
「いかにも。」
風麗に陸羽は頷いた。
「しかし、国王は一切の不便もなく暮らしておった。そこで、あやつは農民にお金をやろうと考えた。」
「しかし、ばらまくだけでは金銭そのものの価値が下がる可能性があります。第一、周囲が認めるわけがありません。」
「さよう。故にこの城を造った。建設には農民のみを雇い、建設だけではない様々な雑用をさせた。そして、多くの報酬を与えた。結果、農民の生活が安定した。」
部屋の手前で陸羽は足を止めた。
「その報酬は国王から?」
「うむ。」
「しかし、多くの報酬を与えれば、周囲からの反発も起こり得るのでは?」
「それは、あやつ自身が説得した。“民の為に尽くすのが国王であり、民を蹂躙するのが国王ではない”とな。あの時はバカモノにしてはよくやった。」
陸羽は襖を開けながら、感心したように言った。
「民の為……」
(そんな国王もいるのだな。)
風麗は昔のことを思い出した。
「よろしいのですか?1人にして。」
「あやつはあやつなりの考えがある。そう疑うな。」
陸羽はそう言うと風麗を見た。
「それとも、ぬしはあのバカモノの言うことが気に食わぬか?あれでも国王ぞ。」
「それは……」
(全部は否定出来ないけど。)
陸羽に風麗は一正のこれまでの行動を思い返しながら思った。
「まぁ、無理もないがな。あやつは馬鹿のようなことしかせぬ。この城を建てたのも、一見はただの気まぐれよ。」
「一見?」
(他に理由が?)
風麗は首を傾げる。
「うむ。」
陸羽はゆっくりと杖をついて歩き始めた。
「この城が出来る前、雨が降らず、不作が続いた。そして、大飢饉が起こり、農民は飢え死んだ。」
「確か、酒田国との争いに勝った翌年でしたよね。争いに負けた酒田国の兵士達の祟りと言われたとか。」
「いかにも。」
風麗に陸羽は頷いた。
「しかし、国王は一切の不便もなく暮らしておった。そこで、あやつは農民にお金をやろうと考えた。」
「しかし、ばらまくだけでは金銭そのものの価値が下がる可能性があります。第一、周囲が認めるわけがありません。」
「さよう。故にこの城を造った。建設には農民のみを雇い、建設だけではない様々な雑用をさせた。そして、多くの報酬を与えた。結果、農民の生活が安定した。」
部屋の手前で陸羽は足を止めた。
「その報酬は国王から?」
「うむ。」
「しかし、多くの報酬を与えれば、周囲からの反発も起こり得るのでは?」
「それは、あやつ自身が説得した。“民の為に尽くすのが国王であり、民を蹂躙するのが国王ではない”とな。あの時はバカモノにしてはよくやった。」
陸羽は襖を開けながら、感心したように言った。
「民の為……」
(そんな国王もいるのだな。)
風麗は昔のことを思い出した。

