一正は水を飲んで、乱暴に器を置いた。
「わしがあんたと幼なじみだということを利用しとるとちゃうか?」
「僕が貴方を裏切るなど有り得ません!!」
その言葉にリアンは激昂した。
「例え、我が国の命であれど、有り得ない。」
「それは誠か?」
今度は陸羽が問う。
真っ直ぐに2つの視線がリアンを見据える。
「なれば問おう。ぬしは何故、このバカモノにそこまでの忠義を尽くす?」
静かな水面のように問う。
「“友情”などに現を抜かす程、ぬしは甘くはあるまい。」
「それは……」
陸羽の問いにリアンは答えられない。

暫くの沈黙があった。
(はめられたか……!!)
ギリッと歯軋りした。
そして、リアンは一正を睨み付ける。
「……僕はこの為だけに酒を振る舞われたのですか?」
真っ直ぐに視線を合わせる。
「そうや。」
一正は頷く。
「人払いをしないということは、わしを今ここで殺す気はないようやな。」
「当たり前です。」
リアンは一正を睨みながら答えた。
「もう1度聞く。あんたは何か企んでないか?」
「貴方の害になるようなことは何も。」
静かに答えた。
「ならば答えよ。」
「出来ません。」
リアンは陸羽に言う。