散華の麗人

馬を走らせながら、少女の姿が脳裏を過ぎる。

『名前は?』
一正が陸羽に問うた。
『あやつは――』
その、言葉の先を思い出せない。
思い出しては、いけない気がする。

(……だが。)
思い出さなければいけない気もした。