散華の麗人

リアンは“やめてくれ”と言わんばかりの表情をしている。
（可哀想に。）
風麗は自分が巻き込まれないように出来るだけ気配を消した。
「はっはっはっは！」
一正は平気そうな顔で唐辛子酒を飲んでいる。
「……ぬしも飲め。旨いぞ。」
陸羽は風麗を誘う。
いつの間にか、２瓶も飲み干している。
（これが、国王の実力か!!こいつ等人間じゃねぇ!!）
リアンと風麗は同時に思った。
「私は任務中ですので、遠慮致します。未成年ですし。」
「未成年なのか？」
一正は驚いたように目を丸くする。
「年はいくつや？」
「16です。」
「若いな～!!」
風麗に一正は陸羽を見ながら言う。
「お前は嫌味を言うておるのか？」
「まっさかぁ～♪」
陸羽に一正はケラケラと笑いながら答える。
「ま、未成年はしゃーないか!!なら、リアン。」
「は、はい!?」
一正に名前を呼ばれたリアンは冷や汗をかいて、居住まいを正した。
「飲め。」
陸羽が言うと、リアンは拒否出来なくなった。
もちろん、陸羽には悪気はない。
（御愁傷様。恨むなら、悪ふざけしている陛下を恨めよ。）
風麗は心の中でリアンに同情した。
（墓標は立ててやるからな。）
そして、心の中でリアンに手を合わせた。