散華の麗人

一正はにこにこと笑う。
「まぁまぁ、飲めや。今日は珍しい酒が手に入ったんやで。」
「そうですか。では、遠慮なく。」
リアンはそう言いながら酒を飲んだ。
陸羽もその酒を飲む。
「!!?」
盃に口を付けた瞬間、リアンは危うく盃を落としそうになった。
一正はそれを見ながら笑いを堪えている。
陸羽は平気そうな表情で2杯目を飲む。
「何や?わしの酒が飲めんのかいな?」
「い、いえ。」
リアンは慌てて盃に口を付けた。
「…………ッ!!」
一気に飲み干した後にリアンは口を押さえた。
「辛いやろ?」
楽しそうに笑う一正にリアンはコクコクと頷く。
「それは、唐辛子酒や!!北の方ではよく飲まれるらしいで。」
一正は笑って言う。
「辛すぎです。」
「せやな。しかも、どぎついやろ。」
リアンは顔を紅潮させながら頷く。
「北は寒いからの。」
平静な声が言う。
「確かに。」
(北には、私も何度か行ったことがある。)
3杯目を飲んだ陸羽に風麗は相槌を打つ。
「陸羽様は平気なのですか?」
「普通よ。普通。儂は長らく、北に住んでおった故。」
陸羽は4杯目を飲む。
そう言えば、国王になる前の一時期は傭兵稼業もしてたとか噂があるな。
「飲め飲め。無礼講やで!!」
一正は唐辛子酒を注ぎながら言う。