「亡霊王だって聞いたのか」
「ええ。器の大きさを見ればわかるわ。それに貴方も――フォゲティアの住人なんじゃあないかしら?人間でも亡霊でもない」
男は感心した。得体の知れないものに物怖じもせずに話す、この女に興味を持った。
「確かに、レーテス・フォゲットの民・エキストの、セレコス=ドワンクール。どうしてわかった?」
「見ればわかるわよ。人間でも亡霊でもないんだったらそれしかないじゃない。ね、貴方も座って」
言われて、三人は机について顔を合わせた。
「この王様、昨日あたしの家の前にうずくまってたのよ。なんか陰気臭い雰囲気ばら撒いてるから、強制撤去願おうかと思って操ってみたわ」
「操る? こいつを? はっはぁ、大したお嬢さんだ!」
セレコスは目を丸くした。
「正直、とっても大きな器持ってるのに、なんでこんなにうじうじしてるのかなーって思った。こんだけ大きな器持ってるんだったら、操られる経験なんて少ないだろうなって思って挑発してみたの」
「で、操れた?」
「ちょこっとね。すぐこの人なめんなーって感じで術解いちゃった。で、ちょっと気に入ったから、泊めてあげることにした。あたしはこの人に何があったか知らない。だけど、この人はきっと、こんなヘタレ君じゃないんだって。そしたら、本当のこの人見てみたいなって思っちゃったわけよ、あたしは」
セレコスは内心、感心していた。一介の人間が亡霊王たる者を操るなど、ちょっとだけだったとしてもほとんど不可能だ。だがよく見れば、この娘の器も相当な大きさだった。亡霊にもこれだけ大きなものは少ないはずだ。それに、性格も良かった。さばさばしていて、元気で。いたずらっ気を起こして聞いてみた。
「それで、こいつをどうしようと思う?」
「どうしよう?何もしようと思わないわよ。元気になったらお引取り願うだけ」
セレコスはにこりと微笑んだ。いい女だった。今のウィンレオは抜け殻だ。正直ここまで落ち込んでいるとは思っていなかった。だが、ウィンレオがどれだけオーキッドと親密な関係だったか知っているだけに、簡単な言葉では片付けられる問題ではないのはわかっていた。
「ええ。器の大きさを見ればわかるわ。それに貴方も――フォゲティアの住人なんじゃあないかしら?人間でも亡霊でもない」
男は感心した。得体の知れないものに物怖じもせずに話す、この女に興味を持った。
「確かに、レーテス・フォゲットの民・エキストの、セレコス=ドワンクール。どうしてわかった?」
「見ればわかるわよ。人間でも亡霊でもないんだったらそれしかないじゃない。ね、貴方も座って」
言われて、三人は机について顔を合わせた。
「この王様、昨日あたしの家の前にうずくまってたのよ。なんか陰気臭い雰囲気ばら撒いてるから、強制撤去願おうかと思って操ってみたわ」
「操る? こいつを? はっはぁ、大したお嬢さんだ!」
セレコスは目を丸くした。
「正直、とっても大きな器持ってるのに、なんでこんなにうじうじしてるのかなーって思った。こんだけ大きな器持ってるんだったら、操られる経験なんて少ないだろうなって思って挑発してみたの」
「で、操れた?」
「ちょこっとね。すぐこの人なめんなーって感じで術解いちゃった。で、ちょっと気に入ったから、泊めてあげることにした。あたしはこの人に何があったか知らない。だけど、この人はきっと、こんなヘタレ君じゃないんだって。そしたら、本当のこの人見てみたいなって思っちゃったわけよ、あたしは」
セレコスは内心、感心していた。一介の人間が亡霊王たる者を操るなど、ちょっとだけだったとしてもほとんど不可能だ。だがよく見れば、この娘の器も相当な大きさだった。亡霊にもこれだけ大きなものは少ないはずだ。それに、性格も良かった。さばさばしていて、元気で。いたずらっ気を起こして聞いてみた。
「それで、こいつをどうしようと思う?」
「どうしよう?何もしようと思わないわよ。元気になったらお引取り願うだけ」
セレコスはにこりと微笑んだ。いい女だった。今のウィンレオは抜け殻だ。正直ここまで落ち込んでいるとは思っていなかった。だが、ウィンレオがどれだけオーキッドと親密な関係だったか知っているだけに、簡単な言葉では片付けられる問題ではないのはわかっていた。

