「変わったことは特にないな。ソフラス、ラクスはいるか?」
「ええ。ラクス?いらっしゃい、クロリス様がお呼びよ」
彼女はソフラス。ウィンレオの妻だ。
王となって三十年近く、ウィンレオは結婚をしなかった。いつかするだろうと大臣達も手を拱いていたのだが、一向にその気配を見せなかったため、王が独り身でいるのは好ましくないと、大臣の娘だったソフラスと結婚した。
〝所詮……作り笑いで過ごしてきた偽りの愛だ。彼女の目的は……俺の器〟
そこに金の短髪に飾られた男が入ってきた。その後ろに同じ色の、長めの髪を真ん中で分けた、気弱そうな青年がついてきた。その気弱そうな青年に向かってウィンレオは笑いかけた。
「エンテルか、久しぶりだな! 見ない間に大きくなった気さえする! はて、私は仕事をしすぎているのかな」
かと言って、ラクスは二十四、弟のエンテルは二十三。成長する年ではない。ウィンレオの不自然な言動に、三人は訝しげな顔をする。まったくもっていつもの彼らしくはなかった。ラクスはどこか冷たい顔をして、
「何かがおありになったんですか?例えば……王になるはずだった者が駄目になったとか」
ウィンレオは鋭い目で息子を見た。
「なんだ、それは」
「いいえ、冗談です。父上が気落ちしているとすれば……ね、決まっていますから」
ウィンレオはすぐに表情を元に戻していた。一方で、ソフラスの表情が険しくなる。エンテルは肩をすくめた。
「どうでもいい。そんな話をしたかったんじゃない。あまりラムをいじめてくれるな」
ウィンレオが言うと、ラクスは、ははっと笑うと、
「いじめていませんよ、父上。俺にとっても可愛い妹ですからね、たとえ血が繋がっていなくてもね。あの子を気にしすぎですね、あの方の生き写しだから」
「ええ。ラクス?いらっしゃい、クロリス様がお呼びよ」
彼女はソフラス。ウィンレオの妻だ。
王となって三十年近く、ウィンレオは結婚をしなかった。いつかするだろうと大臣達も手を拱いていたのだが、一向にその気配を見せなかったため、王が独り身でいるのは好ましくないと、大臣の娘だったソフラスと結婚した。
〝所詮……作り笑いで過ごしてきた偽りの愛だ。彼女の目的は……俺の器〟
そこに金の短髪に飾られた男が入ってきた。その後ろに同じ色の、長めの髪を真ん中で分けた、気弱そうな青年がついてきた。その気弱そうな青年に向かってウィンレオは笑いかけた。
「エンテルか、久しぶりだな! 見ない間に大きくなった気さえする! はて、私は仕事をしすぎているのかな」
かと言って、ラクスは二十四、弟のエンテルは二十三。成長する年ではない。ウィンレオの不自然な言動に、三人は訝しげな顔をする。まったくもっていつもの彼らしくはなかった。ラクスはどこか冷たい顔をして、
「何かがおありになったんですか?例えば……王になるはずだった者が駄目になったとか」
ウィンレオは鋭い目で息子を見た。
「なんだ、それは」
「いいえ、冗談です。父上が気落ちしているとすれば……ね、決まっていますから」
ウィンレオはすぐに表情を元に戻していた。一方で、ソフラスの表情が険しくなる。エンテルは肩をすくめた。
「どうでもいい。そんな話をしたかったんじゃない。あまりラムをいじめてくれるな」
ウィンレオが言うと、ラクスは、ははっと笑うと、
「いじめていませんよ、父上。俺にとっても可愛い妹ですからね、たとえ血が繋がっていなくてもね。あの子を気にしすぎですね、あの方の生き写しだから」

