幻影都市の亡霊

「あ……」

 ウェインは思わず声をもらした。女は無言で、まじまじとウェインの顔を見た。ウェインは少しも動けなかった。そして女は、ふとヨミを見てかすかに微笑むと、

「ヨミ様、彼はお父様似ですね。本当によく似ていらっしゃる」
「えぇっ?」

 ウェインが驚いて声を上げた。その女の口から発せられたのは、男の声だったのだ。声をかけられたヨミもまたヨミで、声をかけた女――いや、男を観察して、はっと息を飲むと、

「アクエムかっ!? いや、参った! 髪伸ばしたのか。女かと思った。アルモ、なんで言ってくれなかったんだよ! すまんすまん、無視したわけじゃあないんだよ、気づかなかったんだ」

 ヨミがへらへらと笑って言う。信用度ゼロだ。ウェインは思った。こんな上司は絶対に持ちたくない、と。こんな男が王直属の部下なものなのだから、大勢の亡霊が、この男を上司として持ってるのだ。気の毒なことこの上ない。
「な、ヨミ、この人達は?」

 ウェインはアルモとアクエムに眼を向ける。先ほどのヨミの反応を見るとエキストの民の事は知らないが、この二人のことは知っているようだった。