「お兄様が、怖いんですの」
「ラクス?」
ラムはうつむきながら肯いた。
ウィンレオはほのかに微笑むと、ラムの頭をなでた。亡霊同士は、触れることができる。それは現界と何も変わらない。第一、形の無い世界での建物――これは、魔法で造られたものだ。だから亡霊にも触れられる。全ては魔法と魂の世界だ。
「お兄様、ぴりぴりしているんですの。なんだか、怖いことを考えているような」
ラクスとは、ウィンレオの第一妻の長男だった。今年二十四歳だ。
第一妻の名は、ソフラス。ウィンレオが亡霊王となって数十年妻を持たなかっために、宮の者達に半ば強引に勧められ、結婚した。因みにソフラスは健在である。よってラムとラクスは腹違いの兄妹だ。
「お前は本当にラクスが苦手なのだなぁ……エンテルやコロテスはどうだ?」
エンテルはラクスの弟で二十三歳。コロテスはラムの兄で十九歳だ。それが、ここ幻界におけるウィンレオの子供だ。
「エンテルお兄様はとっても優しいですわ。この前も一緒に魔法合戦をしてくださったの。コロテスお兄様は相変わらずですわ。エンテルお兄様と遊んでいたらむっすー、とこんな顔で割り込んできましたもの」
ラムは眉間にしわを作り、険しい表情をした。
ウィンレオがふっと笑えば、ラムも嬉しそうに笑う。と、ふむ、とウィンレオは思案顔になった。あの事で問題が起きそうだ。
ヨミが現界に向かった。再び王の器を持つ者は現界に生まれた。それを、子供達が快く思うだろうか、特に、第一妻の息子が。
「ラクス?」
ラムはうつむきながら肯いた。
ウィンレオはほのかに微笑むと、ラムの頭をなでた。亡霊同士は、触れることができる。それは現界と何も変わらない。第一、形の無い世界での建物――これは、魔法で造られたものだ。だから亡霊にも触れられる。全ては魔法と魂の世界だ。
「お兄様、ぴりぴりしているんですの。なんだか、怖いことを考えているような」
ラクスとは、ウィンレオの第一妻の長男だった。今年二十四歳だ。
第一妻の名は、ソフラス。ウィンレオが亡霊王となって数十年妻を持たなかっために、宮の者達に半ば強引に勧められ、結婚した。因みにソフラスは健在である。よってラムとラクスは腹違いの兄妹だ。
「お前は本当にラクスが苦手なのだなぁ……エンテルやコロテスはどうだ?」
エンテルはラクスの弟で二十三歳。コロテスはラムの兄で十九歳だ。それが、ここ幻界におけるウィンレオの子供だ。
「エンテルお兄様はとっても優しいですわ。この前も一緒に魔法合戦をしてくださったの。コロテスお兄様は相変わらずですわ。エンテルお兄様と遊んでいたらむっすー、とこんな顔で割り込んできましたもの」
ラムは眉間にしわを作り、険しい表情をした。
ウィンレオがふっと笑えば、ラムも嬉しそうに笑う。と、ふむ、とウィンレオは思案顔になった。あの事で問題が起きそうだ。
ヨミが現界に向かった。再び王の器を持つ者は現界に生まれた。それを、子供達が快く思うだろうか、特に、第一妻の息子が。

