柔らかい風が吹いていた。
異色の太陽が煌々と照らす大地を、三人の亡霊と一匹の魔造生物が歩いていた。
ぶわり、とそこにあるように感じる大地の埃が舞う。
現界よりも森が多かった。地面の舗装など、石畳がほとんどだった。薄紫に見える空に青みがかった雲が流れる。
銀髪の若い青年が空を仰いだ。
「あー、空が綺麗だなぁ」
「ウェイン、間抜け、顔」
「なんだとっ?」
銀の髪が、どこか楽しげに隣の少女を見る。ぴょこんと帽子が揺れる。黒の亡霊はくすくすとそれを見て、
「ほんとー、間抜けー。ウェイン間抜け王―」
「殺すぞ、ヨミ」
黒い亡霊が茶化す。
風が吹いていた。
「うわぁ、ウェインってば怖いー」
穏やかな、風が吹いていた。
亡霊王ヴァイル=ウェイン=エンドストロールがたつのは、もう少し先の話である。
完

