幻影都市の亡霊

「何よ」
「いつもと違うこと言ってる。いつもお父さんみたいに強くなるのよ、って言ってたじゃないか」

 と、ヨミが思いついたように、

「ヴァイル! どーだ?」
「ヴァイル?」
「光って意味だ」

 コロテスが言う。ウェインはコロテスに、

「ちょっとヴァイル、って呼んでみてくれないか?」
「ヴァイル」
「…………」

 ぴんと来ないが、そこまで違和感もない。ウェインは頷いて、

「じゃあ俺は今日からヴァイル=ウェイン=ストロール?」

 しかしヨミは首を横に振った。

「ヴァイル=ウェイン=エンドストロールだよ。ユアファだって今日からユアファ=エンドストロールだ」

 ユアファが肯いた。

〝あたしもやっと、迷わない者になれた……〟

 そして、ウェインはコロテスの前に立った。

「我がまま言ってすまない。だけど、やっぱり俺は貴方にも及んでない気がする。だからもと成長してから、ちゃんと王になりたいと思う」

 コロテスは弟を見た。そして苦笑しながら、

「いいよ、別に。俺もちょっと王やってみたいし。頑張れよ、ウェイン」

 ウェインは肯いた。そして握手した。そんな様子をウィンレオが見ていた。

〝ウェインが迷うことはないだろう。多くの者が彼を支えている――そして、今度は俺も支える立場になろう〟

 ウィンレオはそっと、ユアファと笑いあった。

「それじゃあ、今日は王宮で馬鹿騒ぎして、明日にでも行くか!」
「馬鹿騒ぎ?」

 ヨミの言葉に、ウェインは首をかしげる。ウェインは賑やかなのが苦手だった。