幻影都市の亡霊

「旅は多い方が楽しいな」

 ウィンレオが笑いながら言った。ユアファはくすくすとシクラを見ていた。ラムはそんな皆を羨ましそうに見た。エンテルがそっとラムを見て、

「ラムも行きたいの?」

 ラムはしかし、笑顔で首を横に振った。

「わたくし、お父様大好きですから」

 その発言にコロテスはぐるんと妹を見て、

「俺は?」

 ラムはぱっちりと大きな眼をさらに開いて、笑った。

「大好きですわ。皆大好きですわ」

 ラムはウェインとヨミ達を見て、

「ウェイン様、ヨミ様、たまには王宮に顔を出してくださいね」
「ああ」

 ラムはエンテルの手を引き、

「それでは、わたくし部屋に行っていますわ。行きましょう、エンテルお兄様」

 二人が去っていって、ウィンレオとヨミはうんと頷いた。

「よし、王座の間へ行こうか」

 玉の間を後にし、王座の間に集まった。ウィンレオはユアファの前に、ヨミはウェインの前に立つ。そこでヨミが思い出したように、

「あっ、お前の魔造生物! 危ない危ない……殺しちゃうところだった……アクエム」

 ヨミはファムを受け取り、アクエムに手渡した。

「この子はどうします?」
「魔造生物だからすぐにここに慣れるだろう、そのままにしておけ」

 ウィンレオが言った。そしてユアファに、

「人間であるときと、亡霊になること、まったく感覚が違う。覚悟はいいか?」
「覚悟なんて、貴方と別れたときからしていたわ」

 ウィンレオは笑って、ユアファの額にそっと口づけた。

「でも、一度現界に戻る」

 ウィンレオはほんの少し淋しそうに、

「一時でも離れるのは淋しいな……」

 ユアファは笑って、

「どちらにしろ、貴方はやらなきゃいけないことがあるでしょう」

 ヨミがウェインを見た。