幻影都市の亡霊

「……僕はもう、ここにはいられないでしょう?」
「何故?」

 ラムがたたっと駆け寄った。

「お兄様、一緒に暮らしましょうよ。わたくし、エンテルお兄様大好きよ、出て行くなんて言わないで」
「ラム……」

 エンテルは肯いた。ウィンレオは笑顔で頷き、

「ヨミ、ウェインを頼んだ」
「ああ、ちゃんと最後まで導く。だからウェイン」

 ウェインはヨミを見上げた。

「俺はファザーとウィンレオみたいになりたい。お前は俺とツキミ、ハルミナを助けてくれた。俺はファザーみたいに途中で死んだりしない。だから、仲良くしよう」
「嫌だ」
「でっ?」

 ウェインはしかしにこっと笑って、

「冗談、もう友達だろ」
「ま、それもそうだな」

 ヨミとウェインが笑いあった。かつてウィンレオとオーキッドがそうであったように。

〝オーク、俺とお前の息子が――こうやって出会ったぞ〟

 ウィンレオは心の中でそっと、亡き親友に語りかけた。するとセレコスがそれを嬉しそうに見届け、

「ヴィー、シクラ、帰るか」
「ええ」

 ヴィーはセレコスの後に続こうとしたが、シクラが動かなかった。

「シクラ?」

 シクラは無表情な顔でセレコスを見て、

「お頭、あたし、この人達と行きたい」
「ほ?」
「え?」

 セレコスとヴィアラは驚いて、シクラを見た。シクラは戸惑ったようにおろおろして、ウェインを指差した。