幻影都市の亡霊

「王の代役を頼んでもいいか?」
「代役?」

 ウェインが王になると言うのなら、ウィンレオが王を続ければいいだけの話だ。ウェインは戸惑ったように笑って、

「父さんと母さんにはもう、離れ離れでいて欲しくない。そして、父さんにはもう、休んでもらいたい。それは、君達のお母さんの願いでもあったはずだから……」

 その時、ウィンレオがくっくと低く笑い出した。

「何がおかしい?」

 セレコスも笑いながら、それでも聞いてやった。

「ウェイン、お前はすでに、王の玉を取った。その時点で俺はもう王でなく、お前が王になったんだ」
「ええっ!?」

 ウェインが驚いて玉を見た。そして父親の顔を見た。

「色が変わってるだろうが。本質的にはお前はもう王だ。だが……旅をしたいと言うのなら、コロテスを仮王にして、ヨミと行けばいい。気が済んだら王宮に帰って来い。王宮も変わった。子供達が王となるなら、窮屈な生活を背負わされることもなくなった」

 ウィンレオはそっと、ユアファに気つけの術を施した。ユアファがそっと目を開けた。

「ユアファ、ここで暮らそう? ウェインが王になった。コロテスが仮王を務めてくれるという。ここは変わった。彼らは変えてくれるだろう。籠の鳥にはならない。ここで一緒に亡霊として暮らそう」
「……あたしが寝てる間に、なんかあった……?」

 ウィンレオはほとんど涙ぐみながら、

「ああ、息子達が夢を叶えてくれた……」

 ユアファは嬉しそうに笑った。

「うん……。一緒に暮らす」

 ぎゅっとウィンレオの首に手を回した。ウィンレオも抱き返した。すると、エンテルが居場所のなさそうに見回した後、部屋を出て行こうとしたのだ。

「何処へ行く」

 ウィンレオに尋ねられ、エンテルはびくりと振り返った。