幻影都市の亡霊

「ああぁあああぁぁああぁああっ」

 ラクスが絶叫した。ぐらん、と世界が揺れ、大きな力がラクスに流れ込んだ。

「うがぁぁぁぁああああぁぁぁぁっ」
「っ」

 ソフラスが目を見開き、エンテルを放した。と、大きな力のうねりソフラスを突き飛ばした。皆が身動きを取れず、その場にうずくまる。

「ユアファっ」
「い…やっ……」

 ウェインは視界の片隅で見た。母が奇怪な力であちこちを引き裂かれそうになるのを。ウィンレオがユアファを抱えた。大きな力が発せられる。ヨミが叫んだ。

「玉を取れっ、ウェイン!」
「っ」

 自分はラクスの近くにいた。他の誰も、うずくまっていて、ヴヴヴヴヴヴと軋む世界の中で、自分を支えるのが精一杯だった。

 気を失ったソフラスの身体は世界に現れたヒビの中に飲み込まれた。ラクスは硬直していた。

 ウェインの身体が何かに突き動かされるように動いていた。ラクスの腕から王輝玉を奪い取り、上半身で包み込んだ。

 とたん、急激に膨張した世界が自分を中心にぎゅりぎゅりと収束されていく気がした。自分の中に世界が流れ込んでくるような気がした。崩壊したその場所が、じわじわと再構成されていくのがわかった。世界が鳴き止んだのを確認して、ウェインは顔を上げた。