幻影都市の亡霊

〝ユークラフという人はそんな父さんを、闇ごとは支えきれないと思ってたんじゃないかな。だから……母さんが父さんの心を支えていると聞いて安心した……。なんか、少しだけ、わかったような気がする……〟

 ラムはそんな視線を感じて、首をかしげてウェインを見た。

「アクエム、アルト、彼女を部屋にお送りしろ。これからのことは自分達で決めてくれるだろう。ラクス、お前は頭を冷やせ。お前が私の息子であることは変わらない。彼女も、直接は手を出さないだろう」
「っ……」

 アルモとアクエムが取り囲みながら、ソフラス、エンテル、ラクスが部屋を出て行く。ウィンレオははぁ、と大きくため息をついた。

「いつから知ってた?」

 セレコスが尋ねた。ウィンレオはくすくす笑って、

「結婚したときから」
「何?」

 ヨミがぽかんとウィンレオを見た。

「彼女はすでに身ごもっていた。ヨミは覚えていないか?オークがいやに彼女を嫌っていたのを」
「ああ。ファザーはずっと嫌な顔をしていた」
「彼女に他の男がいたからさ。さて、これからどうするかな」

 ウィンレオは背伸びをして、ユアファの手を引きながら王座をおりた。

「正直もう、疲れたかもしれない。お前の親父さんはよくこんなことを五百年も続けたなぁ」
「えっっ?」

 ウィンレオ、エキストの民を除いた皆が声を上げて、セレコスを見た。セレコスはくすくす笑って、

「親父も物好きだったからなぁ。だがお前も五十年以上王だ。わりと頑張ってるさ。途中で挫ける奴も多いんだから。ほとんどうじうじしながら王を続けるんだ。幻界がそんなんで安定するわけがない。だからうちの親父は尊敬されてるんだわな。息子の俺はこんな風来坊だっていうのに」

 ウェインが目をまん丸にしてセレコスを見て、

「貴方の父親は、亡霊王だったのか?」
「ああ、ウィンレオの前のな。だからオークとも仲が良かったんだ、俺は」

 ウェインは、少し考えながら尋ねた。