幻影都市の亡霊

「知らなかった。ずっと、父上の子供であることが誇らしかった。父である貴方がとても素晴らしく思えた。だが、十八になったとき俺の人生は全て崩れた! 六つも下のコロテスが俺より大きな器を持っていた。だが、それは仕方のないことだと思っていた。だが、どうして俺は他の兄弟と違う?器も、眼の色も。母の目は緑、王の目は紫だ。なのにどうして俺は水色だ?亡霊は血縁で色が決まるじゃないか!」

 色とは、魔力を帯びるものだ。例えば赤だったら火の魔力、青だったら水の魔力、などだ。血縁で何もかもを相続しない亡霊は、色でそれを受け継ぐのだ。

 ソフラスは唇を噛んで、

「わ、わたくしの父上の目は水色で……」
「よく知ってることだろう! 父か母の色しか継がない事は!」

 そしてラクスはウィンレオを見た。

「貴方なら、知っていたことだろう……! わかっていただろう……俺が貴方の子ではないことくらい……っ」

 ソフラスは怯えたようにウィンレオを見た。ウィンレオは顔色一つ変えず、

「だから?」

 冷たい声でそう言った。ラクスはびくんと身を震わせた。

「それがどうしたと言うのだ。お前が私の子ではないことくらい、当の昔から知っていたさ。彼女が、俺の子だと偽っていたことも、ずっと前から知っていた」

 ソフラスの顔が真っ青になった。ウィンレオは冷たい眼を向け、

「そんなことで欺けると思っていましたか?」

 エンテルが哀しそうにうつむいた。

「それでも私は、ラクスを自分の子だと思って暮らしてきたさ。子に責任はないからな」

 コロテスがエンテルを自分達のもとへと引きよこした。

「お兄様、気をしっかり」
「ああ……」

 エンテルは震えていた。ラムがその手を握る。