幻影都市の亡霊

「兄上、なんという物言いですか」

 コロテスが怒って言い放った。ラクスはそれを睨みつけ、

「こんな男に敬意を払う必要がどこにある」
「何?」

 ウィンレオは何も言わず、ただ息子を見つめていた。

「もうすぐ王でなくなるただの亡霊じゃないか。俺が王になるんだ」

 ラクスは狂ったように笑い出した。しかしセレコスが、

「お前のように小さき器の者が何を言うか」
「導者を殺した王なんかできそこないだ」

 ヨミが怒って手を上げようとすると、ラクスはそれを鼻で笑い飛ばした。

「なんだ、ツキミはお前と一つになったのか。使えないな。使えねぇ」
「何?」

 ヨミが睨みつける。

「あいつにそこの小僧の殺しを頼んだのは俺だ。ついでに亡霊魔も大勢雇った。だが残らず消えたらしいな。全く使えない」

 ラクスがウェインの前まで出てきた。

「こんな小僧に何ができる。女みたいな顔して」

 と、そこにソフラスとエンテルが現れた。ウィンレオやユアファには目もくれず、

「ラクス、おやめなさいっ」

 息子に駆け寄った。しかし息子はそんな母親を睨みつけ、

「あの男と結婚したいがために、俺の父親を捨てたような人とは口もききたくはない」
「……っ」

 ソフラスが声を失った。エンテルは怯えたように兄を見て、ラムとコロテスは何が起こったのかわからないように、ただ青ざめた顔をしている女を見た。

「どういう意味だ」

 ウィンレオがその鋭い瞳をソフラスに向けた。ひっと小さな声を上げて、ソフラスは小さくなった。代わりにラクスが言った。

「俺はあんたの子供じゃない。この女がお前と結婚するために捨てた貴族の子供だ」

 ぎりり、と歯を噛み締めるラクス。