幻影都市の亡霊

 すると煌々と輝く青白い緑の線が網の目を作るように町を取り囲んでゆく。そして、ごごごごごご、と地面が揺れだした。瞬間、

 どぱっ

 弾けるような音の後、目の前には、何もなかった。ウェインは自分が消えた町に戻ってきたような、ヨミと出会った日に戻ったような既視感を覚えた。が、魔法隊が次々と帰ってゆき、他の者達がウェインのもとに集まるように来たときに、自分は大きな決断を迫られているような気がしてならなかった。

「…………」

 自分が、王になれば、父と母は幸せに暮らせる。それは、ウェインに突きつけられた現実だった。

「王宮に行こう」

 ウィンレオが息子に声をかけた。そしてセレコスを顧みて、

「お前達はどうする?」

 セレコスはシクラとヴィアラを見た。

「あたし、行きたい」
「あたしも見届けたいねぇ、この子がどんな決断をするのか」

 ヴィアラにそう言われたとき、ずっしりと心が重たくなったのを感じた。

「では行くか」

 景色は瞬転していた。ぱっと目を開くとそこは、赤い絨毯の敷かれた王座のある場所だった。同行していたアルモとアクエムが、控えるように壁に寄った。

「これが、王座の間だ、ユアファ」

 ウィンレオがユアファの手を取り、そして自分は王座に座った。に、と笑う。ユアファは感慨深そうに、

「へぇ……本当に、王様なんだ」
「なんだそれは」

 ウィンレオが笑うと、ユアファはふふ、と笑い返し、

「あたしの知ってるあんたは、ただのウィンレオだったもの。とても、強い人だった」

 大気の震えるような一瞬の感覚の後、ウィンレオはユアファを強く抱きしめていた。

「やはり貴女は、俺の愛する人だ」
「貴方も」
「お取り込み中悪いな」

 そこに、短い金髪の男が入ってきた。