幻影都市の亡霊

「……ハルミナとの思い出を、笑って思い出せばいいのか……」
「辛い思い出を思い出してもいい。だけど、そればかりを思い出して、楽しかった思い出を涙で汚しては駄目よ……これはあたしが貴方の王様に伝えた言葉。そして、自分に言い聞かせて生きてきた言葉よ――」

 ユアファが、かつて夫に言った言葉を伝えた。ヨミは一気に泣き崩れた。ツキミにしがみつき、嗚咽を上げて泣いた。

「ハルミナ……ハルミナっ……! すまない……! ツキミ、すまない……」
「ヨミ……一つになりましょう」
「っ」

 ツキミは笑っていた。そして、ヨミに口づけると、そのままとけ込むように消えていった。

「……ツキミ……」
「良かったな、わかりあえて。心の中のハルミナさんとも」

 ウェインが笑いかけた。それは、ヨミがほとんど初めて見る笑顔だった。そしてユアファですらも、久しぶりに見た息子の晴れやかな笑顔だった。

 ウェインが右手を差し伸べる。ヨミは泣き笑いだったが、その手を取って立ち上がる。そして、二人で笑いあった。そして、ウェインは自分の両親を見た。その背をヨミがそっと押し、二人の前に押し出した。

「あ……」
「はじめましてだな、我が息子、ウェイン=ストロール。私はクロリス=ウィンレオ=エンドストロール。亡霊王だ」

 ウェインはまじまじと父の顔を見た。皆自分が父親に似ていると言った。ウェインも、どこか似ているな、と思った。