そのときふと、ウェインの頭の中に、母の言葉が思い出された。
〝『ウェイン、強い子になるのよ? あんたの父さんはね、世界で一番強かったんだから! 私はね、弱いのって大嫌いなの。虚勢でもいい、強くなりなさい。弱い子だったらウェインでも捨てちゃうんだから』って、そう、嬉しそうに話してたな……〟
ヨミは、にやりと笑って、
「奇遇だな、器の大きさは、血で決まるわけでないというのに……いや、あの方が、人間との間におつくりになった子供だということか……。しかし、それが次期亡霊王たる者とは……」
ウェインはぴくりと、ヨミを見た。
「次期……?」
「ああ。現在ちゃんと亡霊王は存在するからな。あの方は立派な方だぞ」
ウェインは、動揺した。今の、あの方と、先ほどのあの方――同じニュアンスだった。明らかに、同一人物を指し示す言い方だった。
「……まさか……俺の父親……?」
ヨミはこともなげに、
「ん? 現亡霊王、クロリス=ウィンレオ=エンドストロールだ」
「俺は、その人の息子だってか……?」
ウェインは盛大に顔をしかめた。今まで偉大な母の下で、その息子としか見られてこなかった。加えて見た事もない父親は異界の王だという。
〝全くいい加減にしてもらいたい。あるときは、大魔法使いの息子、あるときは、亡霊王とやらの息子……。俺は、ウェイン=ストロールなんだって、そんな簡単な望みも、叶えられないんだろうか……〟
「ただ、ウィンレオはお前がいることを知らないんだろうな。お前が生まれる前にユアファと別れたからな」
ヨミが言う。根本的に、何かが間違っていた。ウェインは、只の人間でありたいのだ。それなのに、周りはそうは見てくれない。それが原因で、ずっと嫌な思いをしてきたというのに――。
〝『ウェイン、強い子になるのよ? あんたの父さんはね、世界で一番強かったんだから! 私はね、弱いのって大嫌いなの。虚勢でもいい、強くなりなさい。弱い子だったらウェインでも捨てちゃうんだから』って、そう、嬉しそうに話してたな……〟
ヨミは、にやりと笑って、
「奇遇だな、器の大きさは、血で決まるわけでないというのに……いや、あの方が、人間との間におつくりになった子供だということか……。しかし、それが次期亡霊王たる者とは……」
ウェインはぴくりと、ヨミを見た。
「次期……?」
「ああ。現在ちゃんと亡霊王は存在するからな。あの方は立派な方だぞ」
ウェインは、動揺した。今の、あの方と、先ほどのあの方――同じニュアンスだった。明らかに、同一人物を指し示す言い方だった。
「……まさか……俺の父親……?」
ヨミはこともなげに、
「ん? 現亡霊王、クロリス=ウィンレオ=エンドストロールだ」
「俺は、その人の息子だってか……?」
ウェインは盛大に顔をしかめた。今まで偉大な母の下で、その息子としか見られてこなかった。加えて見た事もない父親は異界の王だという。
〝全くいい加減にしてもらいたい。あるときは、大魔法使いの息子、あるときは、亡霊王とやらの息子……。俺は、ウェイン=ストロールなんだって、そんな簡単な望みも、叶えられないんだろうか……〟
「ただ、ウィンレオはお前がいることを知らないんだろうな。お前が生まれる前にユアファと別れたからな」
ヨミが言う。根本的に、何かが間違っていた。ウェインは、只の人間でありたいのだ。それなのに、周りはそうは見てくれない。それが原因で、ずっと嫌な思いをしてきたというのに――。

