幻影都市の亡霊

「さて、奴らを待つとしよう」

 アクエムは使い魔を飛ばした。と、そこに家の前の通りが騒がしくなった。




「くそっ」

 人気のない明け方のアンバルリードの町に入って、抜けようとしていたところだ。それなのに、黒い影はしつこく付きまとってくる。五人は全速力で駆けていた。移動の術を使えばかなりの魔力を使う。そうすればいざというときにウェインを守れない。だから駆けていた。しかし、ウェインはやはり、ここでの空間に慣れていないために、呼吸が怪しくなっていた。

「大丈夫かっ?」

 黒い影を左手で払いのけながら聞くが、ウェインには答える余裕はない。と、

「うわっ?」

 ひょいっと、突然抱え上げられ、ウェインは目が回った。

「おーおー、盛大にやってくるなぁ、こいつらー」
「セレコス」

 ウェインを右肩に担ぎながら、顔色も変えずに走るセレコス。

「これは現界にいたからといってちょっかいはかけられなかったか?」
「そんな、覚えは……」
「俺でも探し始めてから見つけるのに一年かかったんだぞ?」

 ヨミが言うが、セレコスは一睨みで亡霊魔を撃退しながら、

「お前より探すのが上手いのもいるだろうよ」
「だが……ユアファの器が邪魔してたのかもしれない。俺も実際あれには参った」

 全速力で駆けながら、しかも亡霊魔を相手にしながら話をする。抱え上げられながらウェインは、馬鹿馬鹿しい限りだった。

「向こうです、見えました」

 セレコスがひょいっとウェインを前後ろ回転させて、前を向かせた。

「ちょ、ちょっと物っぽく扱ってません?」
「あ、まー、いいじゃねぇか。ほら、あれだろ?」

 確かに、久しぶりに見た、見慣れた町だ。アンバルリードの町を抜けて、しばらく駆けた所に町があった。そこに行くまで荒野を駆けなければならなかった。六人が町を出たところに、上空から嘲笑が振り落ちてきた。