幻影都市の亡霊

〝母上は、儚いような美しさだった。だけどこの人は、太陽のような美しさだ〟

 二つの銀が風にさらさらとたなびく。完全に、時が止まったようだった。

「会いたかった……あたしもっ……!でも、もう会えないと思っていた……」
「向かえに行こうと、思っていたんだ。王が立ったら必ず……」

 二人は一時も離れたくない、とぎゅうぅと抱き合っている。

「……お父様、ユアファ様、とりあえず、どこか中へ入りましょうよ」

 ラムに言われ、はっと我に返った二人は、ゆっくりと離れ、お互いの顔を見合わせた。

「……ちょっと、老けたわね、貴方」
「そちらはますます美しくなった気がするよ、ユアファ」

 ユアファは皆を家へと招きいれた。

「狭いけれど、我慢してね」

 家に入り、机にそれぞれついた。しかしラムはかなり興味津々なようで、

「あの、あれは何ですの?」
「ん?」

 ユアファは指差された、電子コンロのところまで行き、

「電気が来てたらね、ここが熱くなって料理とかができるのよ。火の代わり」
「電気?」

 ラムはひょこんとユアファの隣に行った。

「あっ、わたくしラム=ファザール=エンドストロールですわ。電気って何ですの?」

 ユアファはちょっと驚いたように、ウィンレオを見て、

「幻界では電気って呼び方はしないの?」
「雷と言うから」

 ウィンレオがそう言うと、ラムは驚いたように、

「雷で調理をするんですのっ?」

 大きな目をぱちくりさせる。ユアファはそっと微笑んで、杖の先に小さくパチパチさせた電気を走らせた。

「これがね、コード……この線みたいのわかる?この中を通るの。それでいろいろできるように作ってるわけ。詳しいことはわかんないから、あんまり聞かないでね」
「凄いですわね……」

 ラムはそうやって、家の中にあるものを、あれ何これ何、と聞いて回っていた。それをユアファが丁寧に説明している。その様子をしばらく眺めて、三人は語り始めた。