幻影都市の亡霊

「意思の刃〈ウィルブレード〉……っ!」

 ウェインはさっと両手に雷光を握った。

 飛び掛ってきた黒いものを決死で弾き飛ばす。シクラの手も巨大な雷と変じた。今回は両手だった。
 しかし、その弾き飛ばされたものへ行くのではなく、反対の方へ跳躍した。

 がぢっと、赤紫の光が走る。そこにもまた、黒いものがいる。そこだけじゃないようだった。

 アルモも腰に携えた魔力の結晶の剣を構え、ヴィアラは両手に雷の鞭を持ち、セレコスは特に武器を構える様子はなかった。

 しかし辺りを警戒している。ヨミはウェインが弾き飛ばした黒いものに両手から生んだ輝く結晶を投げつけている。それは空中でぎぎっと展開して、がぎっと無数の足を伸ばして黒いものを地面に縫いつけた。

「何よ、こいつら……」

 ヴィアラが軽やかなステップで舞い出した。その両手の雷の鞭が狂ったように周囲をなぎ払う。それを嫌うように後退し始めた。それを追うように、シクラが獣の動きで、自由に形を変える右手を振り回す。ヨミはウェインのすぐ隣に立ち、かばうようにした。

「これは?」
「亡霊魔、悪魔のように闇にまみれた亡霊だ」

 その隣ではアルモが広範囲に衝撃波を打ち出し、セレコスは地面に手をつき、その地面からは生きているような土の蛇が黒いものに襲い掛かっていた。

〝……これが、魔法の戦い……〟

 ウェインがここまで激しい魔法合戦を見たのは初めてだった。人間が魔法を使うにはやはり、杖などの媒介が必要だし、先ほどのアルモのように一瞬で移動したりはできない。

 母なら使おうと思えば使えたのかもしれないが、どちらにしろ現界では無理だったに違いない。