幻影都市の亡霊

 アルモが王座の間に現れたとき、王座にはウィンレオ、そして隣にコロテスとラムがいた。ウィンレオに射すくめられ、肩をすくめたアルモは小さな声で、

「……陛下……」

 と呟いた。

「お前はっ」

 やはり活が飛んできた。アルモは生ける爆弾を恐々と見る。

「ちょっと使い魔を飛ばすのも怠るのかっ! これではお前をセレコスのもとへと置いておく必要などないだろうがっっっ」

 隣ではコロテスとラムも首をすくめている。ウィンレオはむすっとしながら、

「……それで? お前が見聞きしたものを教えろ」
「はっ。まず、エキストは現界の二国の争いを鎮めました」

 おっ、とそれを今思い出したように、ウィンレオは理由を尋ねた。アルモは言いにくそうに、

「やかましかったから、だそうです」
「くくっ、あの男らしい」

 ウィンレオは一瞬笑んだが、目で話の続きを促がした。

「現界で、ヨミ様とウェイン=ストロールという人間の子に出会いました。二人は町を元に戻すため、と幻界へ行きたがっていたのです」

 その言葉にコロテスとラムは目を交わした。先ほどラクスと白い亡霊は、町をこちらへ飛ばすのにエキストの力を借りた、と言っていなかっただろうか。しかしウィンレオはそんなことを聞いているのではなかった。

「で、そのウェイン=ストロールという子が、王の器の子なのだな?」

 アルモは緊張して、

「はい。ゆ、ユアファ=ストロール様のお子です」

 空気が一気に緊張した。だが中でもっとも落ち着いていたのはウィンレオだった。

「……そうか。彼女は結婚したのか? それで、その子を?」

 そう、ウィンレオは夢にも思っていなかった。それが、自分の子供なのだとは。そしてアルモは首を横に振った。