幻影都市の亡霊

 だがセレコスは淋しそうに笑って、

「そんなに、簡単な話じゃない。あいつらは、身を切り裂く思いで離れたんだ。そしてあいつらが共に暮らせる日は、新たな王がたったときだけ。今はその時じゃない。そうだとしたら、今会っても、また別れなくてはならないんだぞ?」

 しかしウェインは納得がいかなかった。

「今なら、向こうで母さんの代わりに仕事をする人もいる。母さんは、言われれば今にでも亡霊になるはずだ」

 だがそれはどこか、淋しい思いがした。だが今度はヨミが首を横に振った。

「お前が想像している以上に、王という役割が占めることは大きい。そして王宮というのは堅苦しい場所だ。王宮というよりも、王宮に住まう人達の影響で。あんな場所にお前の母親を、住まわせたくないんだとあいつは言ってたよ」

 それにウェインはむっとして、

「だけど、お前は俺に王になれって言うじゃないか」

 ヨミは目を泳がせて、

「だから、そんな場所でも上手くやっていけるように、お前の心を導こうとしているわけじゃないか」

 それにちょっと、ウェインは安心した。少なくともヨミは今、自分を導くと言った。少しは、心が紛れているようだ。

「……俺達もおちおちしていられないな。ウェイン、今すぐここを出よう。そしてまずお前は――」

 ウェインはヨミを見た。

「ウィンレオに会うんだ」

 ウェインはごくりと喉を鳴らした。セレコスもぱんっと膝を叩いて、

「よし、俺達もとことんついて行くぞ。そうなんだろ? ヴィー、シクラ」

 セレコスが振り返ると、そこに盗み聞きしていたか、二人の女エキストがいた。むすっとした様子で二人は三人のもとへと来た。

「あたし、この坊ちゃんがどんな道を選ぶのか、見てみたいわ」
「お頭、行っちゃ駄目、か?」

 セレコスは呆れたように笑って、同行を許した。