「その、王たる器を持つ者を、消したい奴がいた。そいつが、この町ごと持っていきやがった」
少年は、は? と洩らし、
「お前が消したと言っただろうっ?」
叫んだ。黒い亡霊は肩をすくめて、
「俺じゃあないんだ。これをやったのは。だが、俺でもある」
少年は盛大に眉をしかめた。
「どういう……意味だ?」
「んまぁ……そいつに、王の存在を知られてしまった、ということか。俺のせいで」
男が、少年の目を見た。にやりと笑う。
「そいつの名前、聞きたいか?」
「そいつというのは、この町を消した者か?それとも、王のことか?」
「王だ」
少年の問に、きっぱりと黒い亡霊は答えた。正直の所、少年はそんなことに巻き込まれるのはごめんだった。
だが、この状況――自分の住んでいた町が突如消え、そして、自分はこうして得体の知れない亡霊とやらと会話を交わしてしまっている。もう、時機を逸してしまったというのが、現実だった。少年はため息をついた。
「……誰だ? それは、もしかして、ユアファ、という名前じゃないか?」
少年はその名を口にした。たった一人の心当たり。だが、黒い亡霊は首を横に振った。
「そいつの名前はなぁ、ウェイン=ストロールってんだ」
「…………」
少年は、その音の羅列の意味を理解するのに、十秒以上かかった。
眉をしかめ、口をかすかにぱくぱくさせ、眼で問いかける。
今は、王たる器を持つ者の名前を聞いたはずだ。それなのに――何故、今、自分の名前が出てくるのか、一向に理解できなかった。
その少年を見て、黒い亡霊は面白そうに笑った。
少年は、は? と洩らし、
「お前が消したと言っただろうっ?」
叫んだ。黒い亡霊は肩をすくめて、
「俺じゃあないんだ。これをやったのは。だが、俺でもある」
少年は盛大に眉をしかめた。
「どういう……意味だ?」
「んまぁ……そいつに、王の存在を知られてしまった、ということか。俺のせいで」
男が、少年の目を見た。にやりと笑う。
「そいつの名前、聞きたいか?」
「そいつというのは、この町を消した者か?それとも、王のことか?」
「王だ」
少年の問に、きっぱりと黒い亡霊は答えた。正直の所、少年はそんなことに巻き込まれるのはごめんだった。
だが、この状況――自分の住んでいた町が突如消え、そして、自分はこうして得体の知れない亡霊とやらと会話を交わしてしまっている。もう、時機を逸してしまったというのが、現実だった。少年はため息をついた。
「……誰だ? それは、もしかして、ユアファ、という名前じゃないか?」
少年はその名を口にした。たった一人の心当たり。だが、黒い亡霊は首を横に振った。
「そいつの名前はなぁ、ウェイン=ストロールってんだ」
「…………」
少年は、その音の羅列の意味を理解するのに、十秒以上かかった。
眉をしかめ、口をかすかにぱくぱくさせ、眼で問いかける。
今は、王たる器を持つ者の名前を聞いたはずだ。それなのに――何故、今、自分の名前が出てくるのか、一向に理解できなかった。
その少年を見て、黒い亡霊は面白そうに笑った。

