「なんでお前がここに居る?!」

山下絵里を指差し、田中は問いただした。

あんまりにも相手がいつもと変わらない態度だったので違和感なく通り過ぎるところだった。

「なんでって、それは勿論、待ち伏せしてたからに決まってるじゃないですか」

しれっと答える絵里。

「……こんな遅刻しそうな時間に、か」

田中は疑わしげな目で問う。

山下絵里は「そうです」とはっきり肯定し、こう続けた。

「実を言うと月曜の朝から勝手ながらあなたをストーキングし、家を出る時間、登校の道順が変わらないことを知り、いつも通る場所で待っていることにしたんです。
そしていつも通る時刻に待っていた結果、今日、あなたにバッタリ遭遇することに成功しました」

田中はますます薄ら目になって山下絵里を見た。

「……なんでそんなメンドーなことせずに普通に出会おうとはしないかな。
というかそれ、いつぞやに聞いたことのあるようなセリフ…」

「気になるなら8ページに飛んでください。
気にならない人へ次のページへ進みましょう。

田中君が曲がり角で私にぶつかりそうになってその後…パートⅡ(未知の言語との遭遇編)を見たい方はどうぞ33ページにお進みください」

「……この話って、そんな進み方してたっけ?」

「まぁ思い付きです」

山下絵里は眼鏡のレンズを光らせて答えた。