「だからって何なんだよ。
お前がテレビにでも出んのか」
「それは無理だな」
即答。
「だが、私にはこの場がある」
「…はぁ?」
「ここには情報ネットワークというものがある。
携帯やパソコンを通じてこの話を見てくれてる人に私の声を届けたいと思う」
「そうか。残念だったな。
お前の声を聞き届けるだろう読者は6人しかいねぇよ」
やけくそ気味に言う田中に、
「…いいんですか。そんなわびしい情報を公開して」
珍しく山下が静かに疑問を呈する。
しかしそんなことを気にするわけのないこの男は既に叫んでいた。
「――さぁ、皆の衆、聞けぇい」
教師Aは時代錯誤のセリフで両手を広げた。
「この地球はいずれ我々金星人のものになる!!」
大音声の余韻のあとに、三人しか居ない教室の中はしんと静まり返った。
「……ああ。
数少ない読者のドン引いてる姿が目に見える…」
「……見えますね…」
田中と山下は頷き合った。

