田中はますます呆れた眼差しで教師Aを見た。
「えーっと。変なところで切ったり伸ばしたりしてるけど”マスメディア”だよな?」
「…マスメディーアだ」
「もうどーでもいいよ」
田中は気にしないことにした。
「で、そのマスメディアがどうしたって?」
すると教師Aはニッと微笑んだ。
「今のこの地球上に於いて情報は偉大だということだよ」
「……はぁ」
教師Aのテンションに面倒臭くなってテキトーに何となく相槌を打つ田中。
「この間、テレビを見ていて気付いてしまったんだが、すでにいくつかの地球外生命体達が自身の存在をアピールしていた」
「マジかよ」
田中はほとんど信じていない口調で言う。
「本当だ。
彼らは今まで地球上にひっそりと紛れていながら表に出てくることはなかったが、情報の偉大な力を知り、今こそ世界に自らの存在を知らしめる時だと考え、そしてついにテレビデビューまで果たしたのだ」
「それはまた衝撃的過ぎる内容だな」
それが事実だとしたら、あっという間に世界中がパニックに陥り、ショックのあまりに死人まで出そうだ。
ひいては国際問題に昇るレベルではないだろうか。
「…だが、残念ながら、俺は宇宙人がテレビに出演しているところを実際に見たことねーけどな」