愛と復讐


「あのあと、私が目を覚ますと病院にいた。口をふさいだ人が連れてきたんだと思う」

千代はなんとかひきつる顔を隠すように
手に力をこめていた

「助けて、くれたのね」
「えぇ。勝手な想像だけど、このピアスをくれた人は彼だと思ってる」

そういって微笑むと千代は少し安心したように微笑んだ

「でも、病院にテレビがあったけど、報道もされないから不思議に思ってたの。そしたら目を覚ました次の日、二人の男の人が来て、この事件は報道されないし、なかったことにする。そう言われた」
「そんなっ」

千代は泣きそうな顔をする

「そのかわり、家や日常生活において全てを私たちが責任をもってサポートすると言われたの。いわゆる、交渉よ」
「報道しないかわりに、あなたの全てを保証するってこと?」

私は小さく頷いた

「祖父母もいなかったから、受け入れるしかなかった」
「だから、公にされなかったんだ…」
「まぁ、被害者の娘って書かれて変に注目もされたくなかったから…でも、なかったことにはしたくなかった」

私は少し込み上げてくる怒りを手の力にこめた