「……この双子の弟…吉野尚輝について調べようと思うと、必ず…誰かが隠すように動いてる感じなの」
千代は家系図の吉野尚輝の字を指差した。
「…この家にはまだ、何かあるんだと思う」
「……千代、すごい……」
私がそう言うと千代は少し嬉しそうに笑った
「そんなことないよ。……ただ、この調べた先に杏子が望む結果が待ってるとは言い切れないと思う」
「…どういうこと?」
「……教授が犯人か突き止めるには早いってことよ…そのためにも…あの日…何があったか教えてほしい…」
千代は遠慮がちにそう呟いた。
「……わかった……」
私は少し温くなったコーヒーをのんで
話始めた
あの日…
何があったかを……

