「………ん」

そのままゆっくり春風の顔に近づく
唇が触れるか触れないかで俺は止まる

「………なに、やってんだ……俺は」

そうつぶやいて唇を噛む

「……俺は、吉野尚治だ……だから、彼女に憎まれなくてはならないんだ……この気持ちは消さないとな……」

そう言った時
春風がふいに何かを言った

「………セブン、スター……」

その言葉にさっきまでの決意が揺れる

「春風?」
「………教、授?」

うっすらと開かれた瞳。
寝ぼけているのか彼女はふにゃと笑った

そして

「このタバコの匂い、セブンスターですよね……」
「………あぁ」

俺がうなずくと嬉しそうに微笑む