「………わかりやすいやつ」

俺は抱き上げた腕につい力を込める

穏やかな顔をした春風の目は少し腫れていた

「……まさか、泣いたのか?」

なぜ?
俺が犯人だとわかって喜んだのか?

いや。
この子に限ってそんなことはない。

俺は疑問を抱いたまま春風をソファにおろし 
髪をなでる

「………それでいい。お前は、その復讐を胸に生きて、そしていつか幸せになるんだ」 

煙草を取り出してくわえる

「………でも復讐の為に生きるのはやめてほしいな…その目標がいなくなったら、どうするんだよ?」

誰も答えられない質問を煙とともに吐いた。

「吉野、尚治ってーのは……一体、何なんだろうな」

寝ている春風の頬にふれ、耳に触れる

「………俺は馬鹿だな……近づけば辛いだけだっていうのに」