Seasons

電車に乗り込むと、肌寒いほど冷たい空気が充満していた。

「さむー」

思わず肩を抱く。

ホームの侑子は携帯の画面をまだ見つめていた。
そして、そのまま歩き始めて学生の波に紛れて消えた。


耳障りなほど大きなアナウンスが流れてドアが閉まる。

ドアのガラスに、私の顔が映る。


長い黒髪のストレートヘア。
丸い目に白い肌。
唇に塗った薄いグロス――


大人でも子供でもない、頼りない顔だった。


目を、そらす。