Seasons

「ありがとう」
「んー」

侑子は相変わらず携帯に夢中だ。
歩幅を合わせながら無言でいつものホームに行くと、見慣れた制服で溢れていた。

「これは待合室無理だね」

「んー…無理だね、人多いもん」

聞いてるのかな、本当に。


携帯の画面しか見てない侑子の制服を引っ張って誘導し、ホームのはずれのベンチに腰を下ろした。

「さすが亜妃。お疲れ」

携帯が閉じる軽い音がした。

「もー、疲れた…」
「ごめんって」

足を投げ出して、ぶらぶらと揺らす。
少しひんやりとしたプラスチックの感触が、汗のべたつきと混ざって気持ち悪い。