帰りのタクシーの中で、祐輝は考えていた。


瑞希の望みは叶えてあげたい…元気になってほしい。


今まで恋もできずに、一人で生きようと頑張ってきた瑞希を、沢山の愛情で幸せにしてあげたい。


子供がいなくても、二人で仲良く傍にいられたら、それだけでいい…


晴香には感じたことがない祐輝の感情だった。


自宅に戻ると救急車を見ていた違う課の、瑞希の隣に住む男性が祐輝の姿を見つけて、出てきた。


「何かあったんですか?救急車に乗って行ったの、隣の相原さんですよね」


祐輝は無言になっていた。


「あっ…俺、西村っていいます。相原さんの上の階の課で…」


「柴崎です。相原さんと同じ課の…」


「相原さんなんで柴崎さん家から出てきて運ばれたんですかぁ~?」


「体調が悪くなってね、疲れているんだ。悪いけど失礼していいかな?」


「えっ…あ、はあ…」