病院に着くとすぐ、担当医と看護師が瑞希のもとへ駆け寄ってきた。


救急車の中で、ほとんど意識のない瑞希は、酸素を送り込まれ、痛みに耐えているのか…苦痛の表情を浮かべていた。


まさかこんなことになるとは祐輝も思っていなかった。


二人で新しい人生を歩もうと約束したのに、まさか、急患で病院に入るなんて…


看護師に、関係を聞かれる。


「身内の方はいないと相原さんからお聞きしていたのですが…失礼ですが…」


「瑞希の婚約者です!とにかく助けて下さい!」


「お名前は…」


「柴崎です。柴崎祐輝です」


「わかりました。今診察していますので、少々お待ち下さい」


時間にすると10分ほどだったのに、祐輝にはとても長く感じられた。


冷ややかな待合室の椅子に座りながら、祐輝はうつむいて瑞希の無事を祈っていた。