これは、晴香が選んだ男、憲吾に教わったことなのかもしれない…と心の中で思っていた。


「瑞希~すごく美味いよ!」


「本当に!良かった~」


「それで…報告なんだけど、離婚届け出したということで、俺独身に戻りました。で…今朝店長に報告に行ったら、筒井君から電話があって、自分達のせいで離婚になったので、待遇をかえないでほしいって…憲吾君が配慮してくれていたようなんだ…」


「奥様…元奥様も知っているのかな?」


「いや…多分知らないだろう。憲吾は、人のために自分を犠牲にできるような、優しい奴なんだよ。だから…きっと晴香も彼の優しさにひかれたんだろう…俺も彼を見習わないとな…」


祐輝が晴香と呼んだ女性が、短い間でも一緒に生活していた、元妻…本当に小さなことだったが、祐輝の元妻への愛情を見てしまったようで寂しくなっていた。