母親を病院に降ろすと、祐輝は瑞希の元へと急いだ。

病室には見舞い客が訪れていて、笑い声も聞こえる。

ただこの病室の中にも、重病を抱えた人もいるに違いない。

祐輝は、どちらとも言えない瑞希の病に、ただ祈るしかなかった。

遠くから瑞希の笑い声が聞こえるたような気がした。

病室近くに来ると、中舘医師と看護師が微笑みながら出てきて、祐輝をみつけて、柴崎さん…と声をかけてきた。

「先生…どうでしょうか…」

「少しお時間いいですか?」

「はい…」

瑞希に顔を見せる前に、中舘医師と瑞希の部屋から離れた個室に入る。

「どうですか…先生」

「大丈夫ですよ。回復に向かってます。早ければ明日帰ってもいいのですが、もう一日様子みましょうかと話してきたところです」

「そうですか。良かった~」

「それで…」

「はい?」

「瑞希さんに少し立ち入った話しを聞いたのですが…」

「はい…」

「瑞希さんのストレスの原因というのはですね、つまり…柴崎さんには申し上げにくいのですが…」

「言ってください!」

「医師としてお話するということで、失礼な言い方になったりしたらすみません」

中舘は、祐輝から少し視線をずらして、窓の外を見るようにして話始めた。