憲吾は晴香の処置をしてもらっている間に、母に電話を入れた。


「母さん、昼行けなくてごめん。晴香出血して…子供ダメだった」


「今病院なのかい!母さん行こうか?」


「今処置してるから、晴香の様子見てからにするよ。午後から俺休むから。世利頼むね。退院は明日だと思うから」


「わかったよ。憲吾…しっかり晴香ちゃん支えてあげるんだよ」


「わかった…」


会社に連絡を済ませると、二回の手術室前で憲吾は待っていた。


ほんの少しでも、晴香との間にできた命は、晴香のお腹の中で生きていた。


短い命だったけど、きっと晴香との絆を強くしてくれたと憲吾は思っている。


同時に、この手で抱いてあげられなかった悲しみ、悔しさが込みあげてきて、涙が流れた。


処置が終わり、隣の部屋に移される。