「父さん…俺わかるかい?」


酸素マスクをしながら、目を閉じるように、うなづく父親がいる…


視線を瑞希に移したので、祐輝が急いで答えた。


「父さん!俺の婚約者だよ!瑞希…彼女の想いが父さんに届いたんだね…」


父親の右手がかすかに動いた。


瑞希はその右手を握りしめるようにしながら


「お父さん…瑞希です。祐輝さんと、幸せになります。だから…元気になって下さいね…約束ですよ…」


そう言って瑞希は泣き崩れた。


父親も涙を流していた。


反応は間違いなくある…


「祐輝さん…私ついてるから…瑞希さんと休憩所で…」


「はい…」


晴香の母は何もかもわかっていてくれていた。


父親の病状、母親の気弱さ…そして瑞希のことも…