父親は目を開けていた。


医師と看護師が呼びかけている…


「父さん…」


祐輝の呼びかけに、軽く父親がうなづいて見えた。


「柴崎さん!奇跡としか今は言えません!まだ状態がはっきりはわかりませんが、意識が戻ったのは確かです!これから、検査の用意しますのでしばらく、お待ち下さいね」


「大丈夫なんですか!助かるんですか!」


母親の問いかけに、誰もが涙している…


「まだはっきりしませんが、危険な状況から一時抜け出したと思って下さい。あとは、検査してみないと…」


「ありがとうございます…先生ありがとうございます…」


母親は倒れ込むように椅子に腰をかけた。


晴香の母に支えられるように、座り込んで泣いている…


「祐輝…」


瑞希も緊張のせいか、泣きながら体制を崩しかけ、祐輝が支えるように抱き抱えた。